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非正規雇用の試用期間:知っておきたいルールと注意点

Tags: 非正規雇用, パート・アルバイト, 試用期間, 労働契約, 解雇, 労働条件, 労働基準法

非正規雇用でも試用期間はある?知っておきたいルール

パートやアルバイトとして働き始める際、「試用期間」が設けられることがあります。正社員の場合によく耳にする言葉ですが、非正規雇用でも試用期間は存在するのでしょうか。また、試用期間中はどのような労働条件になり、期間中に解雇されることはあるのでしょうか。

このページでは、非正規雇用における試用期間の基本的なルールや、働く方が知っておくべき権利、注意点について分かりやすく解説します。安心して働き始めるためにも、ぜひご確認ください。

試用期間とは何か

試用期間とは、企業が新しく採用した労働者の適性や能力を評価するために設ける期間です。この期間を通じて、企業は労働者がその職務に適しているか、職場の雰囲気になじめるかなどを判断します。労働者側も、実際に働く中で企業や仕事内容が自分に合っているかを見極める期間と捉えることもできます。

試用期間は法律で義務付けられている制度ではありませんが、多くの企業が採用時に導入しています。正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの非正規雇用で採用される場合にも、試用期間が設定されることがあります。

試用期間中の労働条件

試用期間中であっても、労働者として基本的な権利は保障されます。企業は労働者に対し、労働基準法やその他の関連法令に基づいた労働条件を適用する必要があります。

試用期間中の解雇について

試用期間は企業が労働者の適性を判断する期間ですが、試用期間中であれば自由に解雇できるわけではありません。試用期間中の解雇も、通常の解雇と同様に労働契約法に基づき、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められるものでなければ無効となる可能性があります(解雇権濫用の法理)。

ただし、採用後14日以内であれば、解雇予告に関するルールが一部異なります。

試用期間満了時の本採用拒否

試用期間が満了した際に、企業が本採用を拒否することも考えられます。これは「本採用拒否」と呼ばれます。

本採用拒否は、法的には解雇と同じように扱われます。したがって、企業が本採用を拒否するためには、試用期間中に判明した事実に基づいて、「本採用することが不適当であると認められるだけの客観的・合理的な理由」が必要であり、社会通念上相当と認められるものでなければなりません。単に成績が伸び悩んだといった程度では、本採用拒否の正当な理由とは認められない場合が多いです。

不当な本採用拒否ではないか疑問がある場合は、後述の相談窓口に相談することを検討しましょう。

試用期間中に自己都合で退職したい場合

試用期間中であっても、労働者は自身の意思で退職を申し出ることができます。雇用契約の期間が定められているか(有期雇用契約か)いないか(無期雇用契約か)でルールが異なります。

試用期間中の退職を検討している場合は、まずは雇用契約書や労働条件通知書、就業規則を確認し、人事担当者と相談することをお勧めします。

試用期間に関するトラブルの相談先

試用期間中の労働条件について不明な点がある場合や、解雇・本採用拒否に疑問を感じる場合は、一人で悩まずに専門機関に相談することが重要です。

まとめ

非正規雇用であっても、試用期間中の労働条件や解雇には法律上のルールが存在します。働き始める前に労働条件通知書で試用期間に関する定めをよく確認し、期間中も自身の労働条件を把握しておくことが大切です。もし不当な扱いを受けていると感じた場合は、一人で抱え込まず、適切な相談窓口を利用してください。自身の権利を知り、行動することが、より良い働き方につながります。