非正規雇用者が職場でハラスメントを受けた場合:知っておきたい対応方法
職場のハラスメント:非正規雇用者も守られる権利を知る
パートやアルバイト、派遣社員といった非正規雇用で働く皆様も、職場でハラスメントを受ける可能性は残念ながらゼロではありません。正社員ではないから自分の立場は弱いのでは、と不安に感じたり、誰に相談すれば良いか分からなかったりすることもあるかもしれません。
しかし、労働契約の形態にかかわらず、すべての労働者は職場で安心して働く権利を持っています。ハラスメントは、働く人の尊厳を傷つけ、心身の健康を損なう深刻な問題であり、法律によって防止対策が義務付けられています。
この記事では、非正規雇用である皆様が職場でハラスメントに遭遇した場合に知っておくべきこと、そして具体的な対応方法について解説します。
ハラスメントとは何か?非正規雇用者にも適用される根拠
ハラスメントとは、一般的に、優越的な関係を背景とした言動や、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動によって、労働者の就業環境が害されることを指します。代表的なものとして、パワーハラスメント(パワハラ)、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(マタハラ、パタハラ、ケアハラ)などがあります。
これらのハラスメント防止に関する企業の義務は、労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)や男女雇用機会均等法などで定められています。これらの法律は、正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員など、すべての雇用形態の労働者に適用されます。つまり、非正規雇用で働く皆様も、ハラスメントから守られる権利があるのです。
職場でハラスメントを受けた場合の対応ステップ
もし職場でハラスメントを受けてしまったと感じたら、一人で抱え込まず、落ち着いて以下のステップで対応を検討してください。
1. 証拠を記録する
ハラスメントがあったことを証明するために、可能な範囲で証拠を記録することが非常に重要です。 - 日時・場所・状況: いつ、どこで、誰から、どのような言動があったのか、具体的に記録します。 - 内容: どのような言葉を言われたか、どのような行為をされたか、正確に書き留めます。 - 影響: その言動によって自分がどのように感じたか、業務にどのような影響があったかなどを記録します。 - 目撃者: もし目撃者がいれば、その人の名前や連絡先を控えておきます。 - 関連資料: メール、SNSのメッセージ、録音、写真なども重要な証拠となり得ます。
これらの記録は、後で相談したり、会社に改善を求めたりする際に、状況を正確に伝え、真実性を高めるために役立ちます。
2. 社内の相談窓口に相談する
多くの企業では、ハラスメントに関する相談窓口や担当者が設置されています。就業規則や社内規程を確認し、相談窓口があればそこに連絡してみましょう。匿名での相談を受け付けている場合もあります。
相談を受けた会社は、相談内容について調査を行い、事実が確認できた場合には、加害者への措置や被害者のケアなど、適切な対応を行う義務があります。
ただし、相談窓口が機能していない、信用できない、あるいは相談しにくいと感じる場合もあるかもしれません。その場合は、次の社外の相談先を検討します。
3. 社外の相談先に相談する
社内の相談窓口が利用できない、または利用しても状況が改善されない場合は、外部の専門機関に相談することができます。非正規雇用者も無料で相談できる機関が複数あります。
- 労働組合: 企業内に労働組合があれば、組合員でなくても相談に乗ってくれる場合があります。合同労組(産業別労働組合など、企業の枠を超えて加入できる労働組合)も非正規雇用者の相談を受け付けています。
- 労働局(総合労働相談コーナー): 都道府県労働局に設置されている総合労働相談コーナーでは、労働問題に関する無料相談を受け付けています。ハラスメントについても相談できます。
- 弁護士: 労働問題に詳しい弁護士に相談することも選択肢の一つです。費用がかかる場合がありますが、法的な観点からのアドバイスや、会社への交渉、訴訟などの手続きを依頼できます。法テラスなどを通じて、無料相談を利用できる場合もあります。
これらの外部機関は、あなたの状況に応じて、法的なアドバイス、会社への指導・助言、あっせん制度の利用など、様々なサポートを提供してくれます。
会社に求められるハラスメント防止義務
雇用主である会社には、労働者がハラスメントなく快適に働くことができるように、雇用管理上の措置を講じる義務があります。具体的には、相談窓口の設置、相談者や行為者に対するプライバシー保護、相談したことを理由に不利益な取り扱いをしないこと、再発防止のための措置などです。
もし会社がこれらの義務を怠り、ハラスメントによってあなたが損害を被った場合、会社に対して損害賠償を請求できる可能性もあります。
まとめ:一人で悩まず、権利を知り、行動を
職場でハラスメントに直面することは、精神的にも非常に辛い状況です。非正規雇用だからと諦めたり、我慢したりする必要は一切ありません。すべての労働者には、ハラスメントから守られる権利があります。
もしあなたがハラスメントで悩んでいるなら、まずは状況を記録し、信頼できる社内外の相談先に連絡を取ってみてください。あなたの権利を知り、適切な機関に相談することで、問題解決への道が開けるはずです。
このサイトでは、非正規雇用で働く皆様が安心して働くために役立つ様々な情報を提供しています。ぜひ他の記事も参考にしていただき、ご自身の労働条件や権利について理解を深めていただければ幸いです。