非正規働く人の権利ガイド

【非正規向け】移動時間・待機時間の給与ルール:労働時間に含まれるかの判断基準

Tags: 非正規雇用, 労働時間, 賃金, 移動時間, 待機時間

非正規雇用で働く皆様の中には、「仕事のための移動時間は労働時間になるのか?」「お客さんを待っている時間や、手が空いている時間も給与は支払われるのか?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ご自身の労働時間や給与について正しく理解することは、働く上での大切な権利を守るために重要です。

このテーマについて、労働時間として賃金が支払われるかの基本的な考え方と、判断のポイントを解説します。

労働時間の基本的な考え方

労働基準法では、労働時間について明確な定義を設けていません。しかし、最高裁判所の判例などから、「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを指す、とされています。

つまり、実際に作業をしている時間だけでなく、使用者の指示によって拘束され、いつでも作業ができる状態で待機している時間なども、労働時間とみなされる可能性があるということです。

移動時間が労働時間となるケースとならないケース

一概に「移動時間は労働時間になる・ならない」と断言することはできません。その移動が使用者の指揮命令下で行われているかどうかが判断の基準となります。

これらの場合、使用者の業務指示に基づいて移動しており、移動時間中も使用者の指揮命令下にあると判断される可能性があるため、労働時間とみなされる可能性があります。

待機時間が労働時間となるケースとならないケース

「待機時間」についても、その時間に使用者の指揮命令下に置かれているかどうかが判断のポイントです。

待機している場所や状況、そしてその時間に労働者がある程度の自由を許されているかどうかが重要な要素となります。

ご自身の状況を確認するために

ご自身の移動時間や待機時間が労働時間に含まれるか疑問に思われた場合、以下の点をご確認ください。

  1. 労働条件通知書や雇用契約書、就業規則を確認する: ご自身の契約内容や会社のルールブックにあたる就業規則に、労働時間の定義や給与の計算方法について記載があるか確認してみましょう。ただし、会社のルールが労働基準法に満たない場合は、労働基準法が優先されます。
  2. 実際の状況を具体的に整理する: 問題となる移動や待機の時間について、「誰の指示で」「どこにいて」「何を求められていたか」「その時間中に自由にできたことは何か」などを具体的に書き出してみましょう。
  3. 会社に確認する: 疑問点を整理した上で、会社の担当者(店長、人事担当など)に相談してみることも一つの方法です。ただし、回答が不明確だったり、納得できない場合もあります。

判断に迷う場合や相談先

ご自身の状況が労働時間にあたるのか判断に迷う場合や、会社との話し合いで解決しない場合は、専門機関に相談することを検討しましょう。

まとめ

非正規雇用で働く皆様にとって、労働時間として正しくカウントされるかは、適正な賃金を受け取る上で非常に重要です。移動時間や待機時間についても、単に作業をしていない時間と考えるのではなく、使用者の指揮命令下に置かれているかという観点から、ご自身の状況をしっかりと確認することが大切です。

もし疑問や不安があれば、一人で抱え込まず、会社の担当者に尋ねたり、公的な相談窓口や専門家を頼ったりすることを検討してください。ご自身の権利を知り、守るための第一歩となります。