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パート・アルバイトのシフト変更、どこまでOK?知っておきたいルールと権利

Tags: シフト変更, シフト削減, パート・アルバイト, 労働基準法, 非正規雇用

パート・アルバイトのシフト変更、どこまでOK?知っておきたいルールと権利

パートタイムやアルバイトとして働く多くの方が、「希望通りにシフトが決まらない」「急なシフト変更を求められる」「一方的にシフトを減らされて収入が減った」といった悩みを抱えているかもしれません。雇用契約を結んでいても、シフトに関するルールが曖昧だと感じている方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、パート・アルバイトのシフト変更や削減について、法律ではどのように定められているのか、ご自身の権利を守るために知っておくべきことは何かを解説します。

労働契約とシフトの基本的な関係

まず、シフトに関する基本的な考え方を確認します。労働条件は、使用者(会社やお店)と労働者との間の「労働契約」によって定められます。この労働契約において、どのような働き方をするかが決まります。

フルタイムの正社員のように、所定の労働日や労働時間が明確に定められている場合もあれば、パート・アルバイトのように、日によって、あるいは週によって働く時間や曜日が変わる「シフト制」の場合もあります。

シフト制で働く場合、労働契約で「所定労働時間」として大まかな時間(例:「週〇時間以内」など)が定められ、具体的な労働日や労働時間は、都度作成されるシフト表によって確定することが一般的です。

シフト決定権は誰にある?一方的な変更は可能か

シフト制の場合、具体的なシフトを決めるのは通常、使用者側です。しかし、一度確定したシフトは、労働契約の一部と考えられます。使用者には、確定したシフトに基づいて労働者を働かせる義務があり、労働者には、そのシフトに従って働く義務が生じます。

したがって、使用者側が一方的に、かつ正当な理由なく、確定したシフトを変更したり削減したりすることは、原則として認められません。特に、労働者の同意を得ないまま、急なシフト変更や大幅なシフト削減を行うことは、労働契約の不履行となる可能性があります。

例えば、来週のシフトがすでに決まっているのに、「急に人手が必要なくなったから明日の出勤は無しで」と言われたり、「今月は売上が悪いから来月のシフトを半分にする」と一方的に告げられたりするようなケースです。

労働条件通知書(雇用契約書)の確認が重要

ご自身のシフトに関するルールがどうなっているかを知るためには、働き始める際に渡される「労働条件通知書」や「雇用契約書」の内容を確認することが非常に重要です。

これらの書類には、通常、契約期間、仕事内容、働く場所、賃金、そして「労働時間」に関する事項が記載されています。シフト制で働く場合、具体的に「どのようにシフトが決定されるか」「いつまでに翌月のシフトが通知されるか」といった取り決めが記載されていることがあります。

「シフトは1ヶ月ごとに作成し、前月〇日までに通知する」「労働者の希望を考慮する」などの記載があれば、それは使用者と労働者の間の約束事となります。

もし、労働条件通知書をまだ受け取っていない、あるいは内容をよく覚えていない場合は、使用者側に確認を求めてみることをお勧めします。

具体的なケースと対応策

ケース1:一方的にシフトを大幅に削減された

労働契約で想定されている労働時間から、使用者の都合で一方的に大幅なシフト削減が行われ、生活に影響が出るような場合は問題となる可能性があります。

ケース2:急なシフト変更を求められた

すでに確定しているシフトについて、急な変更(出勤日の変更、勤務時間の変更など)を求められた場合です。

ケース3:希望シフトがほとんど通らない

シフト制において、希望する曜日や時間帯に全くシフトを入れてもらえない、あるいは極端に少なくされてしまう場合です。

会社との話し合いと外部相談先

シフトに関するトラブルや疑問が生じた場合、まずは使用者側の責任者(店長、人事担当者など)と冷静に話し合うことが重要です。労働条件通知書に基づき、「このように書いてありますが、なぜこのような状況になっているのでしょうか?」と具体的な根拠を示して質問すると、話し合いが進みやすい場合があります。

話し合いで解決が難しい場合や、どのように対応すべきか分からない場合は、一人で抱え込まずに外部の専門機関に相談することも有効です。

まとめ

パート・アルバイトのシフトに関する悩みは、労働契約の内容と、労働基準法などのルールを知ることで、対応策が見えてきます。まずは、ご自身の労働条件通知書の内容をしっかりと確認し、使用者との間でどのような約束事が交わされているかを把握することが第一歩です。

確定したシフトの一方的な変更や大幅な削減は原則として認められません。もし不当だと感じる状況に直面した場合は、使用者との話し合いを試み、必要であれば労働組合や労働基準監督署などの外部機関に相談することを検討してください。

自身の権利を知り、適切な手順を踏むことで、安心して働き続けることができるでしょう。