非正規働く人の権利ガイド

パート・アルバイトを辞める時の手続き:離職票と源泉徴収票

Tags: 退職, 手続き, 非正規雇用, パート・アルバイト, 離職票, 源泉徴収票

はじめに:退職時に必要な書類とは

パートやアルバイトとして働いている方が退職する際、会社からいくつかの書類を受け取る必要があります。これらの書類は、次の仕事を探したり、失業手当を受け取ったり、税金の手続きを行ったりするために非常に重要です。特に、「離職票」と「源泉徴収票」は、退職後の生活や手続きに直接関わってくるため、その内容と受け取り方について正しく理解しておくことが大切です。

ここでは、パート・アルバイトの方が退職する際に知っておくべき手続きと、離職票・源泉徴収票について解説します。

退職時に受け取るべき主な書類

仕事を退職する際に会社から発行される主な書類には、以下のようなものがあります。

これらの書類は、退職後速やかに手続きを進める上で欠かせません。会社によっては自動的に発行されない場合もあるため、自身で確認し、必要な書類を請求することが重要です。

離職票とは?必要になるケースと発行手続き

離職票は、正式には「雇用保険被保険者離職票」といい、雇用保険の被保険者が離職したことを証明する書類です。主に、ハローワークで失業手当(基本手当)の受給手続きを行う際に必要となります。

離職票が必要になるケース

パートやアルバイトでも、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあるなどの条件を満たしていれば雇用保険の加入対象となります。自分が雇用保険に加入していたか分からない場合は、給与明細で雇用保険料が控除されているか確認するか、会社に問い合わせてみましょう。

離職票の発行手続き

離職票は、会社がハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」を提出し、それに基づいてハローワークが発行するものです。会社は、従業員から離職票の発行を求められた場合、遅滞なく手続きを行う義務があります(雇用保険法施行規則第7条)。

一般的には、退職後10日程度で会社から自宅へ郵送されることが多いですが、会社の方針や手続きの状況によって異なります。

離職票が届かない場合

退職後2週間程度経過しても離職票が届かない場合は、まずは会社に問い合わせてみましょう。手続きが遅れている、あるいは書類の郵送に時間がかかっている可能性があります。

問い合わせても状況が改善されない場合や、会社が発行に協力しない場合は、会社の所在地を管轄するハローワークに相談することができます。ハローワークは会社に対して離職票の発行を指導できます。

源泉徴収票とは?必要になるケースと発行義務

源泉徴収票は、1月1日から退職日までに会社から支払われた給与等の金額と、そこから源泉徴収された所得税の金額が記載された書類です。

源泉徴収票が必要になるケース

源泉徴収票の発行義務

所得税法により、会社は退職者から請求がなくても、退職の日から1ヶ月以内に源泉徴収票を交付する義務があります(所得税法第226条第1項)。また、退職者が交付を請求した場合は、その請求があった日から遅滞なく交付する義務もあります(所得税法第226条第4項)。

源泉徴収票が届かない場合

退職後1ヶ月を過ぎても源泉徴収票が届かない場合は、会社に問い合わせてみましょう。会社には発行義務があるため、請求すれば必ず発行してもらえます。

それでも発行されない場合は、税務署に相談することができます。税務署は会社に対して源泉徴収票の発行を指導できます。

まとめ:退職後の手続きをスムーズに進めるために

パートやアルバイトの方が退職する際には、離職票と源泉徴収票が非常に重要な役割を果たします。

これらの書類は、退職後の生活を安定させ、必要な手続きを遅滞なく行うために不可欠です。退職時には、会社にこれらの書類がいつ、どのように発行されるかを確認しておくことをお勧めします。もし書類の発行に関して問題が生じた場合は、一人で抱え込まず、ハローワークや税務署などの公的機関に相談してください。自身の権利を知り、適切に行動することが、スムーズな退職後の手続きにつながります。